(旧)自立生活センター・昭島の日常

東京都昭島市でひっそりと(笑)活動している福祉団体。地域で暮らす障害者の生活サポートや情報提供、移送サービスなどをやっています。

障害者に対する様々な差別の学習会 その4

皆様、いかがお過ごしだったでしょうか?
「当事者の日常」担当のKでございます。



1月30日(金)、あいぽっく(昭島市保健福祉センター)で
CIL・昭島企画『障害者に対する様々な差別の学習会』
第4回が…




雪(雨?)降る中、開催されました。


今回のテーマは…

「障害者就労の変遷と現在、そしてこれから」

です。

今回の学習会は、第1回と同じ構成で、講師による講演の間に
体験者発表がありました。
(※第1回詳しい様子は、2014年9月1日分ブログ記事参照)

講師は、昭島市障害者就労支援センタークジラ コーディネーター 市村 たづ子氏






講師の市村たづ子さん。


講演の前半は、障害者就労の歴史と現在。

最初に障害者雇用の歴史についての簡単な
紹介と解説がありました。

昭和22年 「職業安定法」……………………………………… 始まりは、傷痍軍人対策。
                             身体障害者の職業紹介・職業指導明記。
                             ※知的・精神・重度の身体は対象外。

  35年 「身体障害者雇用促進法」制定 ………………… 雇用率制度(※1)導入。      

  51年 「身体障害者雇用促進法」改正 ………………… 雇用率義務化、
                             納付金(罰金)制度創設。
  62年 「身体障害者
       雇用の促進等に関する法律」…………………… 対象を全ての障害者に拡大。
                             知的障害は「見なし雇」で
                             算定対象に。  
平成 9年 「身体障害者
       雇用の促進等に関する法律」改正① ………… 知的障害を含めた雇用率設定。

  14年 「身体障害者
       雇用の促進等に関する法律」改正② ………… 障害者就業・生活支援センター事業
                             ジョブコーチ支援事業創設。
  17年 「身体障害者の雇用の
       促進等に関する法律の一部を改正する法律」① 精神障害が「見なし雇用」で
                             算定対象に。 
  20年 「身体障害者の雇用の
       促進等に関する法律の一部を改正する法律」② 中小企業の雇用促進
                             雇用率制度の見直し。   
  25年 「身体障害者の雇用の
       促進等に関する法律の一部を改正する法律」③ 雇用率の引き上げ。
                             差別禁止。
                             精神障害を含めた雇用率算定。
                             (義務化は3年後の平成30年)

と、いった感じでした。


※1障害者雇用率。平成25年(2013年)4月以降は、
   民間企業(従業員50人以上)=2パーセント。
   都道府県等教育委員会=2.2パーセント。
   国・地方公共団体=2.3パーセント。
   従業員50人未満の企業は雇用地無は無い。



歴史を振り返りながら、市村さんが言っていた…

「知的障害が認めれるのは、身体障害から遅れる事10年。
 精神障害が認められるのは、さらに10年掛かる」

という言葉が印象に残っています。

この他に…

・障害者虐待防止法
・障害者優先調達推進法

などの障害者雇用に関する法律と、

・トライアル雇用事業
・東京ジョブコーチ職場定着支援事業

といった、雇用を支援する制度の紹介と解説があった後、
具体的な数字やグラフを使った障害者就労の最近の動向や
障害者雇用実態調査の話がありました。

短いトイレ休憩を挟んで…


昭島市聴覚障碍者協会副会長 三原 恭明氏による体験者発表です。






体験者の三原恭明さん。


三原さんは、高校卒業後、国立聴力言語センターで、職業訓練を受けると同時に
“手話”というコミュニケーションの手段を獲得します。

しかし、その後、就職した会社では、手話が出来る人が居ないばかりでなく、
筆談もスムーズには行かず、大変ストレスが溜まったそうです。
それは、次に勤めた会社でも同じでした。

ある時、三原さんは、東芝青梅工場の求人を見つけ、ソコで働き始めます。
今までの小さな会社と違い、大企業という事もあって当初は「様々な配慮」を期待しました。
ですが、結局、今までと変わらず、周りとのコミュニケーションは取れないままでした。
同じ聴覚障碍者の同僚と、食事をしながら手話で会話をするのが、当時唯一の楽しみだったそうです。

そんな三原さんの周りで、変化が起こります。健常者の同僚が手話に興味を持ち、
三原さんと手話サークルを作りました。手話サークルの輪は徐々に広がって行き、
三原さんが定年退職をする頃には、30人の聴覚障碍者が、職場でイキイキと働けるまでに
なったそうです。

三原さんの話を聞いていて、健常者とのコミュニケーションというのは、
私達、障害者にとって、障害の種別・軽重問わず皆に共通する問題の様に
思えてきた私でした。


10分間の休憩の後、ふたたび市村たづ子さんの講演に戻ります。

後半は、障害者就労の今後と合理的配慮。

・就労継続支援B型事業所(旧作業所)→14,190円
・就労継続支援A型事業所(福祉就労)→68,691円
・就労移行支援事業所          →21,175円

という工賃(賃金)の話から…

障害者の就労支援とは、昔のような“安心の場”を得る為のモノではなく、
経済的自立をめざし、生産活動の機会の提供、知識・能力向上の訓練
等が必要なのではないかと言っていました。

また、障害者側に必要な事として…

就労準備性

という言葉が出てきました。

①心と身体の健康管理(病状管理)
②日常生活管理・基本的な生活のリズム
③社会生活能力・対人技能
④基本的労働習慣
⑤職業適性

正直、私自身今まで、準備ができていたのか?と
少し悩んしまいまいした。

それから、市村さん自身も関わっている、
障害者就労支援機関の話も当然、でてきました。
ハローワークやしごと財団は、私も知っていました。

発達障碍者支援センターは聞いたことがなく、
色々なところがあるものだと感心してしまいました。

そして、最後は合理的配慮。

“合理的配慮”というと…

会社(企業)側に重い責任がある様に
思いますが、障害者側にも、ある程度、責任はあります。
それは、私達が求めた配慮が…

会社(企業)側にとって実現可能な配慮かどうか?

と、いう事と

合理性があるか?(我儘ではないか?)

と、いう事です。

もちろん、他にも色々な話がありましたが、
私はこの2つが特に大事だと思いました。

なぜなら、合理的配慮には、企業側と障害者、他にも支援機関等との…

コミュニケーション

が、大切なのではないかと考えたからです。


三原さんの体験発表にもコミュニケーションの話が何度も出てきました。
健常者よりも人の手を借りる事の多い障害者にとって、本当に
大事な事だと実感した今回の学習会でした。

う~ん、最終的に“就職”とは関係なくなったかも…?



では、また次回  K



今回のオマケ

学習会資料&チラシです。