(旧)自立生活センター・昭島の日常

東京都昭島市でひっそりと(笑)活動している福祉団体。地域で暮らす障害者の生活サポートや情報提供、移送サービスなどをやっています。

移送サービス ~車いすと移乗と、時々、階段昇降~

移送サービスについて問い合わせの連絡が来た。

相談内容は、自宅のある2階から階段昇降を含む通院(リハビリ)をしたいという事だ。
早速、福祉有償運送についての説明をしに自宅へ伺った。


個人が特定されては困るので、利用者の状況は伏せるが、手術による後遺症で下肢機能がマヒしてしまったために車いす生活を余儀なくされたようだ。
退院して自宅に戻ったはいいが、外出もままならない。

階段昇降機を設置する予定なので、それまでの間お願いできないかという事だ。



多くの移送サービス事業所がそうであるように、CIL・あきしまもベッドtoベッドでの対応をしているので、これは受けるべき内容である。

しかし、運転手1名では到底無理なので、2名体制で行なう事を了承してもらった。
2名体制だと時間料金が倍になるから、こちらの都合だけで勝手にやる訳にはいかない。

階段昇降は、手動車いすの場合4名での対応が基本であるが、4倍出せというのは無理な話だろう……。
それに、やろうと思えば1名でも出来る。決してお勧めしないし、進んでやろうとは思わないけど。




そんなこんなで、2名体制で行なった運行当日。

階段昇降を含む運行はここ何年も行なっていないので、一抹の不安はあるが、恐らく大丈夫だろう……。

……という認識は甘かった。


8段・踊り場・8段の直線階段だったが、キツかった。
生憎の雨模様だったので足下も悪いし、何より体力が伴っていなかったようだ(ガックシ)。


このままでは、今後の運行自体お断りせざるを得ない状態なので、プランB投入。
基本の4名体制で行ないたいのが本音だが、利用者の経済的負担やこちらの人的確保をどうするかという問題が生じてくるので、折衷案の3名体制で行なおうと試みる。

取り敢えず、CIL・あきしまの職員×2と運転スタッフの計3名で、本当に大丈夫か事前に練習。

基本の持ち方はこうだが、階段の幅が狭かったのでこうした方が良い、上を2人にするか1人にするか、上がる時と下がる時はどういう風にしたらいいかなど、人の乗っていない車いすを前にああでもないこうでもないと議論を開始。

なんとなく形がまとまったので、都心へ出ていた代表をわざわざ戻らせて練習台にする(笑)。
夕方の30分くらいしか時間が取れなかった事と、3名それぞれの体勢が上手く決まらなかったり、階段昇降未経験の職員がビビッてしまい、後日改めて練習する事にして一旦解散。

ああぁぁ……。不安は募るばかり(笑)。


もちろん、利用者にも事情を説明して3名体制で行なう事を了承してもらう。
併せて、昭島社協のボランティアセンターに階段昇降要員を確保出来ないか打診もしてみる。




夕べの練習を踏まえて、再確認しながら練習開始。

だんだんコツが掴めてきたようで、体勢も楽になって、職員もビビらないし(笑)、不安はかなり払拭された。
折角なので、ブログ用の写真を撮ってもらう余裕も出てきた(笑)。



昭島市内は高層団地が多い。
建て替えが進められてエレベーターが設置されてきてはいるが、今後同様の依頼は増えるかもしれない。
そのためには、色々と準備しておかなければならないね。



最後に、階段昇降の練習風景を載せてみる。

まずは登ってみる。
準備オッケー
階段昇降の基本姿勢は、車いすは進行方向を向いている状態が良いとされているが、階段の幅が狭い場合、このような体勢の方が登り易かったりする。



小さな事からコツコk
最初は、3段の所から練習した。



階段に座っているよ
今回は、3名の体力や体格差を鑑みて、このような配置にしてみた。



無理すると腰にくる……
前輪を上げる“キャスター上げ”をし、上側から一気に引き上げる。
下側は、落ちないよう車いすの下に潜り込むような状態になって支える。





今度は降りてみよう。
ギリギリまで進む
下りは、油断すれば転落してしまう事もあるので、その点も考慮して2名で支える。
登り同様にキャスター上げをし、後輪だけに重心が来るようにバランスを取りながら降りる。



“引く”と“支える”のバランス
上側は、ハンドグリップを引くような感覚で降ろしていく。



チームワークが大事
この辺りまで降りると、支える部分を変更しなければならないので、ちょっと危険。



お、落とすなよぉぉぉ
あと少し。心なしか、代表の顔が強張っている(笑)。




by:は