(旧)自立生活センター・昭島の日常

東京都昭島市でひっそりと(笑)活動している福祉団体。地域で暮らす障害者の生活サポートや情報提供、移送サービスなどをやっています。

『聞き書き ちょっと青空』





皆様、いかがお過ごしだったでしょうか?
「当事者の日常」担当のKでございます。

CILの職員からブログのネタとして勧められた、読書感想文。
私、Kが書く第1回目です。

第1回に私が選んだ本は・・・

聞き書き ちょっと青空」聞き書き 吉田三代子 編集「飛んでけ!車いすの会」


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この本は北海道札幌市に住む障害者、佐藤正尋さんの51年の人生を、
障害者施設を出て30歳から始めた自立生活を中心に、吉田三代子さんが佐藤さん本人や
ご両親をはじめとする関係者への聞き書き、佐藤さんの手による文章などでまとめたものです。
(11年前の2002年に出版されました。)


佐藤正尋さんは、昭和26(1951)年生まれの51歳(当時)。
障害者手帳は1種1級。脳性小児麻痺で、手足はマヒしており、言語も明瞭ではありません。
24時間の全介助を受け、札幌市豊平区美園で1人暮らしをしています。
聞き書き”の吉田三代子さんとは友人で、日本で使わなくなった車いすを途上国に送る活動をしており、
この本の編集にも携わっている「飛んでけ!車いす」の会でも一緒に活動しているそうです。

友人同士なので「若い女性介助者の時は、トイレを我慢する事がある」とか「トイレを失敗した後、
処理の指示をするのは恥ずかしい」といった様な極めてプライベートな話も載っていました。
他には、施設を出てからの他の障害者達とのアパートでの共同生活や障害者運動の事、海外旅行の様子が
書かれていました。


先の文章でも少し触れましたが、聞き書きは佐藤さんの関係者にも行われています。
関係者はご両親の他に、佐藤さんの介助者、この本のタイトルの基となった正尋さんと彼を取り巻く人達の
ドキュメンタリー映画「ちょっと青空」の監督・撮影の小林茂氏です。吉田さんは、この人達とも
お知り合いです。

ご両親の聞き書きは、佐藤正尋さんの生い立ち等の話がありました。
正尋さんが生まれたのは東京の大森。妊娠7か月目で、体重は1,425g。
子供の頃は、休みのたびに海や動物園に連れてでかけていたのだそうです。

聞き書きをした介助者は、男性と女性の2名。女性は自選ヘルパーで、男性は専属泊り介護人です。
介助に入って3か月の女性のヘルパーは「正尋さんに信頼されたい」と考え、一方介助に入って3年になる
男性ヘルパーは「正尋さんとは対等の関係ですね」と言っていたのが対照的で、少し面白いと思いました。


ドキュメンタリー映画「ちょっと青空」の話もこの本には出て来るのですが…
撮影時の様子や具体的な内容は、監督の小林氏の話の中にも、佐藤さんの聞き書きでも、
ほとんど触れられていません。
佐藤さんの映画への思いや小林監督の価値観に対する考えは良く理解できますが、
内容で分かるのは佐藤さんの「シ・シイタケ」という言葉だけでした(笑)。



今まで“聞き書き”の本を読んだ事が無いので分かりませんが、
この本は、佐藤さん達と吉田さんの会話が“そのまま”文章として載っている気がします。
そのままと言っても、吉田さんの言葉は一切本文の中には出てきません。
佐藤さん達の文章は“話し言葉”で書かれています。読み進めて行くと時々「アレッ?」と
思う部分がありました。多分“ソコ”にあった吉田さんの言葉を消して無理やり繋げたのだと思います。

加えて、知り合い同士の会話なので、第三者(読者)には分かりづらい名称や言葉が
いくつも出てきますが、解説なども全く無いので
結果的に「佐藤さん達の知り合い」じゃないと分からない本になっています。


本の帯にある“介助する側、される側―その間に人間関係があって、
はじめて成り立つ対等のつきあい!!”というのは、なんとなく伝わってきました。



私の文章も分かりづらいかもしれない…。





では、また次回  K