(旧)自立生活センター・昭島の日常

東京都昭島市でひっそりと(笑)活動している福祉団体。地域で暮らす障害者の生活サポートや情報提供、移送サービスなどをやっています。

障害者に対する様々な差別の学習会 その2

皆様、いかがお過ごしだったでしょうか?
「当事者の日常」担当のKでございます。


9月30日(火)、あいぽっく(昭島市保健福祉センター)で
CIL・昭島企画『障害者に対する様々な差別の学習会』
第2回が開催されました。

今回のテーマは…

「入所施設(社会的)に関する差別や虐待」

です。

講師は、社会福祉法人東京緑新会 多摩療護園 園長 平井 寛氏。




講師の平井 寛さん。



講演の冒頭、差別や虐待の1つの例として“国による虐待の定義”の紹介がありました。

・身体的虐待(身体拘束、行動抑制など)
性的虐待(わいせつな行為をする・させる。行き過ぎた異性介助など)
・放棄、放任による虐待 ネグレクト(同居人虐待の放置も)
心理的虐待(子供扱い、人格を傷つける、無視するなど)
・経済的虐待(財産の勝手な処分、運用、金銭を渡さないなど)

また、差別や虐待が起こる要因について…

・人は「集団のルール」を守らなかった人に罰を与える事で快感を得る
・介助職員の立場の権力性

といった、施設(職員)側の問題点と共に

・強い被害者意識を持つと加害者に転嫁することがある

という障害者(当事者)側にも通じる問題点もあり、
私は正直、ドキッとしました。




以上の 問題の解決の糸口として、平井さんは…

・他人の痛みが分かる(共感する)こと
・虐待に至るまでには何か必ず原因があると考えること。

と言っていました。



10分間の休憩の後、講演は後半に入ります。

後半は、平井さんが園長を務める多摩療護園の
『オンブズパーソン制度』を例に、入所施設における差別や虐待(苦情)に対する
取り組みについて具体的に触れていきました。







施設オンブズパーソン誕生までの流れ
(※以下、資料より一部抜粋)

●1972年  開設(全国で療護施設制度開始)利用者主体の施設作りを開始
        ・医学の場から生活の場へ
●1973年  利用者自治会誕生
        ・同性介助、4人部屋から2人部屋への変更、飲酒・喫煙の解禁、
         一般投票所での選挙、単独を含む外出自由化等
        ・生活改善の取り組みを1970年代末までに、ほぼ実現
●1980年代後半から、職員の質が変化
        ・乱暴な介助、不適切な態度の現れ
●1989年から、約4年間にわたる施設改革に突入
        ・自治会から出された夜間入浴導入の要望実現に難航したのをきっかけに展開
        ・当事者主体の復権が最大の課題
        ・この展開過程で1992年、全国に先駆けて施設オンブズパーソンが誕生

多摩療護園の苦情解決制度の特徴と工夫

1.オンブズパーソンの構成
        ・施設に厳しく、かつ総合的な判断ができる
        ・オンブズパーソンの4名のうち2名が障害当事者(自立生活センター所属)
        ・他2名は職員の権利擁護の為、労働組合推薦者、大学の研究者等
        ・男女比は2対2
        ※オンブズパーソンは独立性の高い存在として位置づけ
         調査・提言・勧告の権限を有している。
2.苦情受付の多様な窓口
        ・苦情受付委員、自治会、施設長、他職員等…誰でも良い
          ◎苦情を抱く利用者は言いやすい人に話す
          ◎日常的に関係している人が様子を知る事が多い
          ◎現場職員からの代弁件数が増えつつある
3.苦情受付から問題解決へ迅速な対応
        ・利用者の心理的負担の軽減を優先、形式的な事は後回し
          ◎当事者からの聞き取りは丁寧に十分行う
        ・経過等を詳細かつ正確に記録
        ・必ず本人の了解を取り、オンブズパーソンへ報告
        ・最終的に苦情受付委員がとりまとめる
        ・苦情解決責任者(施設長)は苦情受付委員と解決に取り組む
        ・サービス管理責任者が苦情受付委員を担い首尾一貫した対応
4.オンブズパーソンへの情報提供と信頼関係づくり
        ・施設側からのコーディネートは不可欠
          ◎施設の置かれた状況や利用者の様子等十分な情報提供
        ・問題解決に向け真摯な取り組みを心掛ける事は重要
5.活動について
        ・『利用者・職員懇談会』にオンブズパーソンの1名が必ず参加
          ◎不満や苦情に結び付く課題を拾い上げ、必要に応じて利用者個人への聞き取り
        ・『オンブズパーソン定例会』毎月開催
        ・まず自治会、次に施設がオンブズパーソンと話し合う
          ◎施設・自治会定期協議会議事録等を提供
          ◎重要案件は三者合同で対応策を協議

以上の事柄について、説明・解説がありました。

他にも…

・苦情内容の主な特徴と変化
・権利擁護の視点を大切に

などの話をしてくれました。






私自身子供の頃、障害者施設に入所していましたが、
“職員の声”を聞いた事はありませんでした。
しかも差別や虐待の話はなおさらです。

なので、今回の学習会とても貴重な体験になった1日でした。





では、また次回  K

おまけ
学習会恒例!資料画像~!!!

今回の資料です。