Shinjoプロジェクト 『障害者についてのシンポジウム』の報告
震災の影響により延期になっていた『障害者虐待についてのシンポジウム』は、滞りなく終りました。
今回のシンポジウムをもって、Shinjoプロジェクト助成『様々な差別虐待の共通する問題点を表面化することで、障害者に対する差別虐待の防止を図る事業』は全て終了しました(会計報告などの事務的な作業は残っていますが)。
前半を講演、後半をシンポジウムという形式で行ないました。
講演はピープルファースト・ジャパン(以下:PF・J)代表の佐々木氏と弁護士の大石剛一郎氏、シンポジウムは両氏に加え、佐々木氏の支援者、立川市在住の稲葉新吾氏と支援者の5名を迎え、CIL・昭島代表の吉澤がコーディネーターを務めました。
PF・Jの佐々木氏からは、入所施設で起きた虐待について、PF・Jとしてどういう関わりをしてきたかをお話していただきました。
パワーポイントをプロジェクターで投影しながら行ないました。
弁護士の大石氏には、実際に障害者虐待についての
裁判に関わっていて感じる事をお話していただきました。
施設という密室における虐待は、外部にその実態が解りにくい事や、
虐待を受けている障害者の意思表示を汲み取る事の難しさなど、
ひと筋縄ではいかない現状があるようです。
休憩中にシンポジウムの準備を調える。
シンポジウムでは、まず始めに稲葉氏に自身の体験をお話をしていただきました。
入所施設などで虐待を受けている多くの障害者たちは、「No」と言う事ができません。
それは、彼らの育成環境が大きく左右している事もありますが、施設という閉鎖空間故の要因も大きく関わってきます。
稲葉氏は「No」を訴え施設を飛び出してきた一人です。
辛い体験を、途中声を詰まらせながら語る稲葉氏は、今では地域で自立し充実した毎日を送っているそうです。
施設で虐待を受けていた人、彼らを支援する人、施設虐待を公にし虐待防止を訴える人、現在施設で職員をしている人、虐待を受けている人の権利を回復しようとする人など、バラエティに富んだシンポジスト達によるお話は、この事業の締めくくりに相応しい内容でした(自画自賛?)。
左から 稲葉氏支援者・稲葉氏・大石氏・佐々木氏・佐々木氏支援者・吉澤
障害者虐待は、僅かな時間では語り尽くす事の出来ない大変な問題です。
かといって、ゆっくり時間をかけていけば解決するというものでもありません。
皆様にはもっと関心を持っていただき、一緒に考えていただければと思います。
講師、シンポジストを務めていただいた方々を始め、参加された皆様、ご協力いただいた皆様に感謝いたします。