(旧)自立生活センター・昭島の日常

東京都昭島市でひっそりと(笑)活動している福祉団体。地域で暮らす障害者の生活サポートや情報提供、移送サービスなどをやっています。

駅と車椅子

駅と車椅子  近田洋一



皆様、いかがお過ごしだったでしょうか?
「当事者の日常」担当のKでございます。


さて、今回は久々“読書感想文”です!
今、ネットで調べた所、前回は2013年7月23日!!
8ヶ月ぶりになります(苦笑)。


今回はこの本です。


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この本は、1980年~1984年まで埼玉新聞に連載された記事を1985年に書籍化したモノです。
1978年、国鉄(現:JR)高崎線 鴻巣駅橋上化の際、障害者・妊産婦・老人等
“誰でも利用できる駅を”と結成された障害者グループ「多角形」

その活動を通して、当時の(現在も続く)障害者を取り巻く様々な問題に対し、
障害者自身が闘う姿と、結婚・出産・子育てなどメンバー達の自立生活の様子も描かれています。

この本の主人公である障害者グループ「多角形」の代表が、
先日、私が参加したCILくにたち援助為(えんじょい)センター企画の学習会(3/6記事参照)で
講師だった関根義一さんでした。

グループ「多角形」が結成されるキッカケとなった“橋上駅”とは
線路を跨いだ形の駅舎で、階段を上がったスペースに改札口や
券売機等を設置している駅の事です。
昭島市では、拝島駅がそうです。


1979年6月の暑い夏、鴻巣駅の駅頭でのビラ配りから、
鴻巣市・高崎鉄道管理局・国鉄本社との交渉など「多角形」の“誰でも利用できる駅”を
目指す闘いは、関根さん達が思っている以上に困難を極めます。

「多角形」側は…
“障害者《も》利用するエレベーター等の設置”
何度も要請するのですが、

鴻巣市・高崎鉄道管理局・国鉄本社側は…
“障害者《の》エレベーター等の設置”は(金銭的理由も含め)
難しいと繰り返します。

関根さん達は「誰でも利用できる」という意味で“障害者《も》
言っていたのですが、相手側は「障害者専用」と思い込み“障害者《の》
解釈してしまうのです。

「多角形」のメンバーは、このことに対して…

「“障害者専用”にすることで、自分達(健常者)の社会から排除・隔離している」
という考えを述べ「障害者を人里離れた施設に集め、管理するのと同様」として否定しています。

また、鴻巣市・高崎鉄道管理局・国鉄本社側の「障害者専用」という
思い込みの理由の1つとして著者の近田洋一氏は…

「今までは、障害者も“専用”を求めて運動していたから」

と書いています。

結局、鴻巣駅の運動は、30回以上の交渉、約2万人の署名を集めるなどするものの、
関根さん達「多角形」の要請は実現することなく終わりを迎えます。
市や国鉄等と交渉を開始してから3年目の1982年6月、
鴻巣駅は“何の対策も無いまま”は橋上化されてしまいました。


鴻巣駅運動の中で出てきた「障害者を自分達(健常者)の社会から排除・隔離」する
という行動は、形を変え何度も本の中に出てきます。

1980年8月、A町(原文ママ)で、病気の母親(当時60)が
障害者の娘(当時24)の将来を悲観して、母娘心中を図り、娘を締め殺す。
という事件が起こりました。

この時、親子の住んでいたA町の地域住民は母親の減刑運動を始めます。
動機は“母親に対する同情”です。事件から1週間で121人の署名が
集まったそうです。

本には、署名をした人達の証言もありましたが、
母親に対するモノが殆どで、障害者の娘に関しては極僅かでした。
近田さんと多角形のメンバーはコレも、
「障害者を自分達(健常者)の社会から排除」する行動の一環だと言っています。

他にも、国際障害者年のポスターにあった
“障害者をジロジロ見てはいけません”というフレーズと
美化されまくった(笑)、障害者の写真についても同様な感想を持っていました。


非常に考えさせられる内容が多い反面(?)、関根さん達の
自立(結婚)生活を書いた部分は、比較的楽しく読むことができました。

CILくにたち企画の学習会で、関根さんが結婚している事、
御子さんがいる事を話している時、私は単純に…

①自立生活開始②結婚③子供誕生

だと思っていたのですが、この本を読むと…

①結婚②自立生活開始③子供誕生

な・なんと①番と②番が逆だったのです!!!

CIL昭島代表に、この話をすると…

代表「昔は“自立する”ために”結婚する”人、多かったからねぇ(笑)」

マ・マジですか!!!!(驚愕)。

う~ん、私が自立を考えた時は“結婚する”なんて発想なかったなぁ…(相手いないし 泣)

もちろん結婚生活、妊娠、出産に関しても

・女性障害者に対する差別
・障害者子作りに対する健常者の偏見
・障害者夫婦の出産、育児の不安

など、など…

様々な問題も書かれているのですが、
正直「いいなぁ…」と憧れながら読んでいる私でした。

今回、この本を読んで、自分の人生について、
少し考え出した今日この頃です。





では、また次回  K