(旧)自立生活センター・昭島の日常

東京都昭島市でひっそりと(笑)活動している福祉団体。地域で暮らす障害者の生活サポートや情報提供、移送サービスなどをやっています。

障害者に対する様々な差別の学習会 その5

皆様、いかがお過ごしだったでしょうか?
「当事者の日常」担当のKでございます。


2月27日(金)、あいぽっく(昭島市保健福祉センター)で
CIL・昭島企画『障害者に対する様々な差別の学習会』の
第5回が開催されました。

今回のテーマは…

「障害者権利条約と障害者差別解消法について」

です。

講師は、弁護士で、元障害者制度改革推進会議 総合福祉部会委員 藤岡 毅氏。







ずっと立ったまま、身振り手振りを交えてお話されていた。





質疑応答中は、座って回答していたよ(笑)。




講演は障害者権利条約の経過からスタート。

2006年 12月 国連で採択。
2007年  9月 日本政府署名。
2008年  5月 国際的に発効。
2013年 12月 (日本)国会で批准承認。
2014年  1月 批准。
(批准書を国連事務総長に寄託)
   同年  2月 国内的効力発効。

2014年1月20日。日本は、140番目
(EUを含むと141番目)の障害者権利条約、締約国に。

経過説明の後は、障害者権利条約の内容等について。

●障害者権利条約の目的
 全ての障害者の基本的人権が、
 完全にそして平等に享受されることが、
 今よりもっと促進され、しっかりと守られ、
 しっかりと実現されること及び
 障害者1人ひとりの人間としての尊厳が
 尊重される社会になること。

●「障害者」概念の医学モデルから社会モデルへの転換
  障害の“医学モデル”とは、障害を心身の機能上の
 「損傷=インペアメント」と捉え、個人の努力等により
  克服すべきとの考え方。
  障害の“社会モデル”とは、「インペアメント」と
 「ディスアビリティ=損傷による機能低下」とを明確に区別し
  障害を、社会参加を拒む社会的障壁と捉える考え方。
  障害の責任は障害者個人には無く、障壁を除去しない社会が負うと考える。

●自立生活等について
 全ての障害者が、他の者との平等を基礎として、
 居住地を選択し、どこで誰と生活するかを選択する機会を有すること
 並びに特定の生活施設で生活する義務を負わない。
 地域社会における生活地域社会への包容を支援するために必要な
 在宅サービス、居宅サービス、個別の支援を含む地域社会支援サービス等を
 障害者が利用する機会を有する。

この他に、
2011年8月に施行された、改正障害者基本法
「社会的障壁」の定義…

障害がある者にとって日常生活または社会生活を
営む上で障壁となるような社会における事物、制度、
慣行、観念、その他一切のものをいう。

についての解説もありました。

10分間の休憩を挟んで講演は後半へ。



後半は、2013年6月に公布され、2016年4月に施行される

障害者差別解消法

について。

障害者差別解消法では障害者に対する“不当な差別的取扱い”と
“合理的配慮の不提供”を禁止しています。

不当な差別的取扱いに関しては、国・地方公共団体、民間業者(個人事業者、NPO法人含む)
共に“禁止”としています。

し・か・し

合理歴配慮に関しては、国・地方公共団体には、『法的義務』が課せられているものの、
民間業者には法的義務は無く、あくまで『努力義務』なのです。

講演前半の障害者権利条約の話で、合理的配慮について…

「合理的配慮の欠如という差別は即時的義務」

という言葉が出てきました。

即時的義務というのは、簡単に言うと…

「すぐに行われるべき義務」です。

努力義務だと、即自的というより、「漸進的 (徐々に行う)義務」
という印象を強く感じます。

一方、障害者雇用においては…

(1)障害者に対する差別の禁止
 雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いを禁止する。
(2)合理的配慮の提供義務
 事業主に、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための
 処置を講ずることを義務付ける。ただし、当該措置が事業主に対して
 過重な負担を及ぼすこととなる場合を除く。

と、合理的配慮を“義務付け”ています。

また、差別の主な具体例…

・身体障碍、知的障害、精神障害、車イス利用、
 人工呼吸器の使用を理由に採用を拒否すること

合理的配慮の具体例…

・問題用紙を音訳・点訳すること、試験などで
 拡大読書器を利用できるようにすること
 試験の回答時間を延長すること、回答方法を工夫すること

などが明記されるのは

『当たり前のことだが、画期的な事だ!!』

と、藤岡さんは、繰り返し言っていました。

この後、障害者差別の具体例として…

・2011年~2014年、東京で実際にあった
 「障害者施設建設反対運動」
・2014年に神奈川県で起こった
 『精神障碍者グループホームに対する入居反対運動』

の紹介・解説がありました。

最後に、権利条約と差別解消法で何ができるのか、
何をすべきかとして…

・社会モデルを使いこなす
・社会の側が障壁除去義務を
 尽くしているのかを検証する習慣、トレーニン
・1人では弱いので仲間と連携して、
 同様の目に遭っている人同士で声を上げる。

などの行動が必要という話で、学習会は終了しました。


今回の学習会は、2014年度 CIL・昭島企画の学習会
『障害者に対する様々な差別の学習会』シリーズの最終回でした。
まさに、集大成といった感じで、第1回~第4回の学習会で
学んだ事の全てが話の中に出てきた気がします。

実は、前回の学習会のシリーズ、私は2回ほと欠席してしまいました(汗)。
今回の学習会に参加しながら…

「もし、前回のシリーズみたいに途中で欠席していたら、
 分からない話もあったかもしれない」

と、ホッと胸を撫で下ろしたのでありました。

それぐらい内容の濃い学習会で、参加できて良かったと思った1日でした。





では、また次回  K